本当にあった怖い話・不思議な話


【 泣ける怪談 】
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  もっと生きたかった……
もっと一緒にいたかった……
先に逝った者たちから涙のメッセージが届く。

読者からのジーンとくる実話怪談を一冊にまとめました。



<カテゴリー>

縁ある人-出会いを与えてくれた人 13話
友達  -絆を結んでくれた人   10話
恋人  -愛を育んでくれた人    4話
家族  -身近で見守ってくれた人 20話
ペット -癒やしをくれたキミ    9話。



B6版単行本/257p

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         「リンクスが来た」
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               ペット -癒やしをくれたキミ-から


 小さい頃から犬を飼っていた。

 ペットショップで、『この子!』という子犬を見つけ、
 私が面倒をみることになった
 プードルで名前はリンクス。人懐こく、やんちゃな子だった。

 リンクスとはいつも一緒で、よく遊んでやったせいか一番私に
 懐いていた。
 十歳になるまで家族のように暮らしていたが、つらい別れが
 待っていた。

 当時住んでいた府営住宅が団地に建て替えられるという。
 団地ではペットは禁止。
 規則でどうしても手放さなくてはならなかった。

 私の抵抗など何の力にもならず、可愛がっていたリンクスは
 知らない人に譲ることになった。

 いくら泣いても枯れることのない涙……新しい飼い主の元で
 元気で暮らしてくれることだけを祈った。

 大好きなリンクスがいなくなって、私の胸にぽっかりと空洞が
 開いた。

 いつも遊んで疲れたら、私のそばにくっついて寝ていたリンクス。
 夜寝るときも布団の中に入ってきて、暑くなると布団の上で
 私にぴったり寄り添って寝ていた日々。

 二度と帰ってこないリンクスとの思い出に、しばらくは寂しさに
 打ちひしがれていた。

 リンクスを手放してから五年ほど経った頃。
 私は新しい団地で暮らしはじめていた。

 私の部屋は洋室で、ベッドで寝起きしていた。
 ある朝方のこと。まだ起きるには早過ぎるので、うとうとしていた時、
 床をチャカチャカと走る犬の足音がした。

 それは昔のように、畳の上を走り回る音。
 『ああ、またリンクスが来たんだな……』
 夢の中でまどろんでいた私は何の疑いもなくそう思った。

 リンクスはいつも通り、私の足元に寄り添って横になった。
 安心しきって体をくっつけ、ほのかな寝息と共に温かな体温を感じる。
 私はほのぼのとした気持ちになり、もう一度眠りの世界に落ちていった。

 朝になり、私はリンクスが来たことを思い出した。
 飛び起きて足元を見る。
 しかし、リンクスがいるはずはない。

 『ああ、あれは夢だったのか……』
 そう思った瞬間、私は確信した。



 リンクスが亡くなったことを……。



 『きっと、リンクスはお別れの挨拶に来てくれたんだ……』
 一気に涙があふれた。

 怖いという気持ちはまったくなかった。
 それより百倍も千倍も悲しい気持ちになった。

 あの体の重み、やわらかな感触……あれは間違いなくリンクス。







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