本当にあった怖い話・不思議な話


★★★★★
五つ星怪談







☆━━━━ 【 公園に来いよ 】 ━━━━☆




 あの日以来、私は電話が怖い。

 その日、私は友人のアキ(仮名)と休日に遊びに行こうと電話で

 話していた。



 「じゃあさ、映画の後、買い物、カラオケね」

 するとアキは、

 「あのさ……カラオケじゃなくて、公園へ散歩に行かない?」

 今まで話していたことを突然くつがえした。


 

 私も絶対カラオケに行きたかった訳ではなかったので、

 そせに同意すると、今度はショッピングまで行かないと言う。



 「……すぐ、今から行かない?」

 「え?」

 「映画行かないで、公園。公園に行こうよ。散歩しようよ」



 アキはしきりに公園に行きたがる。

 綿はもそこで気づけばよかったのにと、今になって思う。

 というのも、アキは近いところでも車を使うほど、歩くのが嫌い。



 そんなアキが、散歩をしたがるはずがなかった。

 だが、その時は私は気づかんかった。



 「でも、公園で散歩だけじゃね……」

 異論を唱えると、意外なことを言う。

 「え……あんた、公園に行きたいの?」



 面食らった。それまで公園に行きたいとしきりに言っていたのに、

 突然、全否定するのだ。



 「あんたが公園に行こうって言ったんじゃん」

 私が言うと、アキはまさかと言って笑う。

 「公園? 行かない行かない、遠いじゃん」

 「アキが言ったんだよ」



 何度私が言っても、アキはまさかと笑うだけで、結局元どおり

 映画、ショッピング、カラオケに落ち着いた。

 訳がわからなかったが、アキの気まぐれだろうと思っていた。



 「じゃあ、明日ね」

 「うん、じゃあ」

 そう言って、アキは受話器の向こうで電話を切った。

 アキは確かに電話を切った。




 だが……
≪もう一人のアキ≫ は電話を切っていなかった。
 




 「公園……行こうよ」

 切ろうと受話器を耳から離そうとした時、小さく聴こえた。

 えっと思って、もう一度受話器を耳に押し当てると、



 「お前も来いよ……公園……飛び降りにさぁ!」

 そのおぞましい物言いに、反射的に電話を切った。



 アキの高い声とはまったく違う、低くかすれて、濁った声。

 男の声だった。

 なぜアキの声が、男の声に取って代わったのかは知らない。



 約束どおり、翌日私はアキと遊びに行った。

 だが、心の底から楽しむことはできなかった。



 じつは、その公園といえのは、飛び降り自殺や海難の名所だと

 いうことを思い出したからだ。

 それ以来、電話が怖い。


                  


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 ■投稿:ハルさん(女性・沖縄県)

 ※五つ星級の怖さ、不思議さのある怪談です。多くは出版物に掲載されました。
 ※投稿のストーリーを変えることなく、雲谷斎が加筆・執筆しました。

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