本当にあった怖い話・不思議な話


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【 五つ星怪談 】







☆━━━━ 【 岬の肝試し 】 ━━━━☆




 ある年の夏、私は伊豆にいた。

 早朝にはサーフィンをして、昼間は海の家でバイト。

 夜は女の子をナンパをしたりという生活を楽しんでいた。
 


 その晩は、前日に知り合った女の子二人と遊んでいた。

 いつのまにか肝試しに行こうという話になった。



 心霊スポットを知っているという友人が案内役となり、

 ある岬へと向かう。



 友人が先頭に立ち、アケミ(仮名)、私、チカ(仮名)C子が

 一列になって細い道を歩いて行った。

 蒸し暑い夜で、もう秋の虫がうるさく鳴いていた。



 目当てのスポットはけっこう遠かった。

 みんな歩き疲れてきて、花火でもしてればよかったと思っていた。

 今考えると、本当にそうしておけば良かったと思う。


 
 岬は先端が崖のようになっている。

 肝試しコースは、ぐるっと崖を回って帰らなければならなかった。



 真っ暗な中、もう少しで崖に着くところで先頭を歩いていた

 友人の歩みが唐突に止まった。



 「どうしたの?」

 「……」

 アケミが訊いても、友人は答えない。



 「なんだよ。早く行けよ!」

 「見ろよ、あそこ。崖の上……」

 友人はそっちへ視線だけ送って小声で呟いた。




     
 そこには
白い着物の女と小さい男の子が、

 じぃーっと崖下の海を見つめている。




 「キャー!」

 女の子たちが絶叫した。



 「バカ、静かにしろ! いいか、もうあそこを通らないと帰れねぇ

 んだよ。だからこのままゆっくり行くぞ。絶対、手を離すなよ。

 ずっと下向いてろ!」



 女の子たちはパニック状態だった。

 必死になだめ、ギュッと手を握り、ゆっくり崖に向かって歩いた。
 


 下を向いていたせいか、みんなの脚の震えがわかる。

 私の脚もブルブルと震えていた。

 上を向かない、手を離さない、それだけに注意を払った。



 崖からは異様な気配を感じた。

 何か、訳のわかせないことを呟いているような声もする。



 恐怖に押し潰されそうになりながら、そこを通り過ぎようとした。

 その瞬間だった。

 私の後ろのチカが何かにつまずき、サンダルが脱げてしまった。



 反射的に私は振り返り、チカを見ようとした。

 しかし、私の眼前には青白い見知らぬ女の顔があった。



 私は発狂したように叫び、手を離し、全力で逃げてしまった。

 それをきっかけにみんな一斉に逃げだした。

 だが、チカだけがなかなか逃げて来なかった。



 私はすごく責任を感じ、焦燥感に苛まれていた。

 ようやく五分ほど遅れて、チカが帰ってきた。

 内心ホッとしたのも束の間、チカは着くなり倒れこんでしまった。



 もう一人の女の子は泣きじゃくっている。

 私はチカをおんぶして、彼女らが泊まっている宿へ送った。

 おんぶしていた時、チカの脚には一つ小さな手形があった。


 
 その子たちとはそれっきりになった。

 私は海の家でのバイトもやめた。


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 ■投稿:黒池さん(男性・埼玉県)

 ※五つ星級の怖さ、不思議さのある怪談です。多くは出版物に掲載されました。
 ※投稿のストーリーを変えることなく、雲谷斎が加筆・執筆しました。


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