本当にあった怖い話・不思議な話


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五つ星怪談







☆━━━━ 【 老婆の顔 】 ━━━━☆




 高校の修学旅行で、沖縄のある防空壕を訪れた。

 その防空壕は立ち入り禁止になっていて、普段は人が入ることが

 できない。



 私たちは、防空壕の前まで近づくことを許可されていた。

 ガイドと一緒に防空壕の前まで行き、黙祷をしていた時だった。

 目を閉じて手を合わせていた私を、誰かが後ろから掴んだ。



 私は驚いて目を開けた。

 「危ないところだったね」

 私の親友で霊感が強い子がと、後ろから心配そうに言う。



 私は平らな地面に立っていたはずなのに、傾斜地に立っていた。

 その子に支えらなかったら倒れてしまうほどの斜度だった。



 「あんた、引き摺られていたよ。気に入られたのかも……」

 ゾッとするようなことを言って、身に着けていたお守りをくれた。


              ◆


 異変はこの後から始まった。

 修学旅行が終わった直後から、毎夜必ず金縛りで目が覚める。



 金縛り時には、大勢の兵隊の足音、呻き声、正座している老婆の

 悲しそうな顔などが次々と現れる。

 どれも重苦しいものだったが、意味がわからなかった。




 ただ、その中で
老婆だけはいつも決まって最後に現れた。
    




 そして、それらは少しずつ私の顔の方に近づいてくる。

 修学旅行から帰って一週間が経つと、それらは私の胸まで来た。

 ただ、その日はいつもと違っていた。



 いつも最後に出てくる老婆が、最初から私の方に背中を向けて

 座っている。



 いつものように兵隊の足音が近づいてくる……はずだった。

 しかし、この日に限って、一向に足音は聴こえてこなかった。



 やがて、老婆が私の方に顔だけを向けた。

 その顔は、いつもと違う穏やかな表情を浮かべていた。

 その日を境に足音も呻き声も老婆も、金縛りにも遭わなくなった。



 後日、母の生家に帰省したときその謎が解けた。

 墓前の写真にあの時の老婆が写っていた。

 母に聞くと、私のひいお婆ちゃんだという。



 顔も知らないひいお婆ちゃんが、私を救ってくれたのだと思った。


                  


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 ■投稿:瀞さん(女性・神奈川県)

 ※五つ星級の怖さ、不思議さのある怪談です。多くは出版物に掲載されました。
 ※投稿のストーリーを変えることなく、雲谷斎が加筆・執筆しました。

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