本当にあった怖い話・不思議な話


【 メルマガ怪談集 】







∴‥∵‥∴‥∵ 「 父の声 」 ∵‥∴‥∵‥∴





 お爺さんの墓参りに、父母が車で出かけた。

 帰路、群馬県の某有名トンネでそれは起こった。



 そのトンネルに入る頃には、山の向こうに陽は沈んでしまっていた。

 辺りはぼんやりと暗く、まさに逢魔が刻という時間帯。



 前にも後ろにも車は走っていない。

 父の運転する車だけが長いトンネルの中にいた。

 何気なく前を見ていた母は、父が何か言ったような気がした。



 「な〜に?」

 「……………」

 父は返事をしない。



 「ねえ、今なんか言ったでしょ?」

 「……………」

 父はハンドルを握って、前をじっと見たまま答えない。



 「ちょっと! 聞いてるの? 今なんて言ったの?」

 「……俺も聞こえた」



 そうなのだ。

 母が父の声だと思ったのは、父の声ではなかった。




 
運転席と助手席の間で聞こえた、謎の声だったのだ。




 もう母は何も言えず、後ろを振り返ることもできなかった。

 二人は黙りこくって、ひたすらトンネルの出口を目指した。



 やっとトンネルを抜け、すぐパーキングに逃げ込んだ。

 そして、すぐさま留守番の私に電話をかけてきたのだ。

 「でたでたでたでたでたっ!」

 第一声から完全にパニクっていた。



 ちなみに。

 母には「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」という男の唸り声に。

 父には「かえるなぁぁぁぁぁぁっ!」と聞こえたという。




 投稿のストーリーを変えることなく、雲谷斎が加筆・執筆しました。
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 ■投稿:cannanさん(女性・神奈川県)
 ■読者の採点 3.83点 

 ◆雲谷斎のイッチョ噛み
  「車にもう一人見えんヤツが乗ってたのか、トンネルのヤツか。
  どっちにせよ、運転中にややこしこと言うなっちゅうねん!」

  
◆2017.09.30発行 逢魔が時物語メルマガ【隧道にかかわる怪談】より
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