本当にあった怖い話・不思議な話


【 メルマガ怪談集 】







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≪≪≪ 金縁の鏡 ≫≫≫
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 東京小平市の学園で、小学二年生の夏の頃の話。

 その頃、ビニールの傘袋に水を入れて縛って持ち歩く遊びが流行った。



 持っているだけで、蒸せるような暑さに少しは対抗できた。

 踏み潰すと大きな音が出るのも、たまらなく楽しかった。



 その日も、いつものように友達と傘袋を学校から調達した。

 私達は幼い知恵で体育館の方へ回った。

 体育館にはウォータークーラーが付いているからだった。



 冷たい水を袋に詰めた私は、壁にかけてある金縁の鏡に目をやった。

 その鏡はお婆ちゃんの家にある鏡によく似ていた。

 だから、ここに来る度に嬉しくて見てしまうのだった。




 
……と、その鏡に男の子が映っていた。




 四年生ぐらいか?

 鏡越しに、随分古びたランドセルを背負っているのがわかる。



 ランドセルには赤い大きな飾り物が付いていた。

 そんなランドセルを背負ってる者など学校にはいなかった。

 帽子を深く被っているせいで、顔がよく見えない。



 同じ小学校の子だろうと思っていたが、制服が違う。

 ここは小中高の一貫校。

 他校の子が勝手に入って来れる訳がない。



 それに、鏡に映っているのは先ほどまで私が水を汲んでいた場所。

 誰も居なかったことは断言できた。



 だが、なぜか私は後ろを振り向いて確かめることを渋っていた。

 もちろん、友達に話す気もなかった。

 怖いからではなく、振り向いたら男の子が消えてしまうと危惧したから。



 こんな不思議な体験は二度とできないと思った。

 目に焼き付けようと、いつまでもそうしていたかった。



 しかし、その男の子は鏡の中で、まったく消える気配がなかった。

 (この子、もしかして生きた人間なのかも……?)

 ふとそう思って後ろを振り向いた。



 後ろには誰もいなかった。

 慌てて鏡を見ると、男の子はやっぱりそこに居る。

 えっと思ってまた後ろを向く。誰も居ない。



 何度かそれを繰り返した後、ふいに男の子が鏡から消えた。

 慌てて後ろを向くと、唖然とした表情の友達がいた。



 「あんた、見た?」

 「うん、見た」

 恐怖が一気に湧き上がり、二人は転がるように走って帰った。



 あれから七年経ち、私はその高校に通学している。

 あの金縁の鏡は、小学三年の時になぜか取り外されてしまった。

 結局、あの男の子は何だったのかもわからないまま。




 投稿のストーリーを変えることなく、雲谷斎が加筆・執筆しました。
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 ■投稿:mobuさん(女性・東京都)

 ◆雲谷斎のイッチョ噛み
  「実家が鏡の小学生とちゃいますか? んなヤツおるかい。
  取り外されたんですか、惜しい。ヤフオク出したら売れたのに」

  
◆2018.01.30発行 逢魔が時物語メルマガ 【視】にまつわる怪談より
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