本当にあった怖い話・不思議な話


【 メルマガ怪談集 】







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≪≪≪ 隣室との壁 ≫≫≫
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 これは数十年前、兄が京都の大きな病院での研修医時代に起きた話。



 研修医は勤務終了後に、同僚や教授との飲み会が週に何度かあった。

 京都の繁華街がわりと近くにあるので、たいがいそっちへ行った。

 飲み会が長引き、終電に間に合わないこともよくあった。



 そんな時はそのまま病院に戻って、病院へ泊まることが多かった。

 病院は救急も受け入れているので、医師の仮眠室がある。



 ただ、無断宿泊の医師は、入院病棟の空きベッドで仮眠することになる。

 その夜、兄は患者が入院している隣の大部屋の横の部屋で寝ていた。




 横になっていると、

      
隣の病室との壁がドンドンドンと叩かれる。




 音で目覚めると、

 「よしあき、よしあき!」

 患者の名前を泣きながら呼ぶ、お母さんの声が聴こえてきた。



 兄もその患者を何度か診察したことがあった。

 「ああ、とうとう亡くなられたのか……」

 そう思って納得した。



 翌朝、宿直の先生に念のために確認した。

 「昨夜、あの患者さん亡くなられたの?」

 宿直医はその通りだと肯定した。



 「お母さん、かなり取り乱されてたよね。隣の部屋で寝てたけど

 壁を叩く音が凄く聴こえていたからね」

 昨夜のドンドンという、壁に拳をぶつけるような音のことを話した。



 「いや、息子さんにしがみついて、静かに名前を呼ばれてただけですよ」

 宿直の先生は怪訝な顔で否定した。



 兄の寝ていたベッドは、ちょうど患者とは壁を挟んだ位置。

 「なぁ不思議やろ? あれ何の音やったんやろぅ?」

 兄はさも不思議そうな口調で話してくれた。




 投稿のストーリーを変えることなく、雲谷斎が加筆・執筆しました。
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 ■投稿:アーモンドチョコさん(女性・福島県)

 ◆雲谷斎のイッチョ噛み
  「空きベッドで仮眠するのも、ちょっとした勇気ですねぇ。
  縁のある患者やったから、壁ドンで知らせたかったんとちゃいます?」

  
◆2018.02.28発行 逢魔が時物語メルマガ 【聴】にまつわる怪談より
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