本当にあった怖い話・不思議な話


【 メルマガ怪談集 】







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≪≪≪ 遺品 ≫≫≫
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 大阪の大東市でアパートの部屋を貸している。

 入居者は高齢者が多いので、たまに部屋で亡くなったりする。



 アパートは築四十年ぐらいで、改築もあまりしていない。

 廊下の蛍光灯をつけ替えても、暗いままのように思えるほど。



 そんな古アパートで、また一人高齢のお爺さんが亡くなった。

 親族に遺品処理は任せていた。

 しかし、意図的に置いていったらしき物があった。



 それは、新聞紙に包まれた長い棒きれ。

 中身を確認すると、刃渡り一メートル以上の刀のようだった。

 しかし、刀にしてはえらく真っ直ぐだった。



 それは侍が使う刀ではなく、鮪をさばくための包丁だった。

 市場へ行けばよく見かけることがある代物。

 ものの見事に手入れされ、刃には一点の曇りもなかった。



 だが、そんな物騒なものを借家に置きっ放しにできる訳がない。

 当時の家主である祖父は自宅に持ち帰った。

 人目のつかない場所に隠し、長く保管していた。



 やがて祖父は、祖母に包丁の保管場所を伝えて亡くなった。

 そのまま数ヶ月が流れた。



 ある日の早朝、母が私の弟を起こしに三階へ上がった。

 すると、整然とした学習机の上に『それ』は置かれていた。

 朝日に照らされ、ギラッと輝く刀身の眩しさに母は腰を抜かした。



 なんとか意識を持ち直した後、祖母に報告した。

 祖母は動じることなく、すぐに包丁を新聞紙に包んだ。



 家の前は川である。

 車で二キロほど下流に走り、深みに包丁を放り投げ捨てた。

 母はまったく包丁のことは知らなかった。




 祖母はなぜか頑なに、また意味ありげに、

 家の誰にも包丁の在り処を教えていなかった。



 弟がその在り処をどう知ったのか、何で持ち出したのかは不明。

 当時の弟には、その理由を訊けない雰囲気があった。



 ちなみに、包丁が隠されていた場所は冷蔵庫の裏。

 調理具の棚やラックを動かさない限り、絶対発見できないのだが。




 投稿のストーリーを変えることなく、雲谷斎が加筆・執筆しました。
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 ■shangさん(男性・大阪府)

 
◆雲谷斎のイッチョ噛み
 「わざと置いていった遺品の鮪包丁、それ訳アリとちゃいます?
  鮪以外のものを切ったとか……ああ、コワッ」


 
◆2018.06.10発行 逢魔が時物語メルマガ【異】にまつわる怪談より
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