本当にあった怖い話・不思議な話


【 メルマガ怪談集 】







耳を襲う信じがたい怪異
【聴】にまつわる怪談



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★★★ ホテルの外で ★★★
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 長野県に霊峰と呼ばれる山があり、私はその麓にあるホテルで働いている。

 ホテルは森林の中に、ぽつんと一軒だけ。

 夜十時過ぎともなると、ホテル全体がシーンと静まり返る。



 宿直になった場合、フロント関係は午後十時と午前一時に

 ホテル内を見回る。

 そんな宿直の時に、奇妙なことがあった。



 私は仕事が溜まっていたので、午後十時の見回りの後も、

 次の見回りまで事務室で仕事をしていた。

 午前一時の見回り時間となり、一階ロビーから巡回を始めた。



 建物は三階まであり、横に長いので、見回るだけで二十分はかかる。

 やっと巡回が終わった時、ふとタバコが吸いたくなった。

 しかし、ホテル内は基本的に禁煙。



 玄関の自動ドアを確かめついでに、表に出て一服しようと思った。

 玄関の脇にある灰皿が設えられたベンチに向かって歩く。

 灰皿が歪んでいたので、元へ戻していると……。




 背後から突然、「おい!」という野太い声がした。




 誰だと思う前に、私は思わず「はい!」と答えて振り返ってしまった。

 ホテルマンの習性という反応だったと思うが、

 こんな遅い時間に玄関の外に誰かがいるはずがない。



 当然、振り向いた先には、ただ暗闇が広がっているだけ。

 だが、はっきりと声を聴いたのも間違いなかった。



 (あっ、これは、なんとなくまずいな……)

 嫌な感じを受けたので、タバコを吸うのをやめて中へ戻った。

 すぐ玄関を施錠し、急ぎ足で宿直室に向かった。



 翌朝に備え、三時間ほど仮眠をとろうと床についた。

 疲れていたのか、すぐに寝てしまう、

 ところが、これまで見たこともない怖ろしい夢でうなされることに。



 夢の中で、私は誰かにすがって泣き叫んでいた。

 「やめてくれ、やめてくれよ!」

 何度も何度も、理由もわからないまま懇願しているのだ。



 目の前には、首を吊って死んでいる人が揺れていた。

 顔もよくわからないが、男だということはわかった。

 その男の太ももあたりを抱えて、泣き叫んでいた。



 自分が叫んだ声で、起きてしまったようだった。

 目覚めた時には体中が汗びっしょりで、本当に泣いていたようだった。

 時計を見ると、寝付いてからまだ一時間も経っていなかった。



 外で聴こえた「おい」という不可解な男の声。

 それが夢の中で結びつき、答えを暗示しているかのようだった。



 じつは、このホテルのある村では、毎年何人かの自殺者が出る。

 自殺者は美しいところで死にたいと、場所を探すようだった。



 この辺りでも、十年以上前に男の首吊り自殺があったそうだ。

 ホテルから二百メートルも離れていない林の中らしい。

 もしかしたら、私はそんな自殺者に声をかけられたのか……。




 投稿のストーリーを変えることなく、雲谷斎が加筆・執筆しました。
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 ■黒銀レンスポさん(男性・長野県)

 
◆雲谷斎のイッチョ噛み
 「富士の樹海もやけど、自殺者は見つけられやすい所を選ぶらしい。
  この状況、首吊った男が声かけたんに決まってますわ」


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