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【 逢魔が時物語メルマガ 】
episode. 10






実話怪談×小説

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 その中から、実話怪談を掲載します。





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       episode.10「メンバーチェンジ」
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 台風一過のある夏の夜。
 時間を持て余したSさんたち男四人が、ドライブに出かけた。

 宛てもなく走るうちに、車は山道に差しかかっていた。
 バイク生活の長かった友人は、車の運転には不慣れだった。
 自信が無いので途中で引き返そうと弱音を吐いた。

 「この道を抜けたら、すぐ国道に出るから」
 そう諭し、そのまま山道を進んで行くことに。

 台風後でもあり、所々大きな石や土砂が道路を塞いでいた。
 徐行や道の端を通過して、何とかやり過ごす。

 後部席に座っていた彼はふと、垂れ下がった木の枝に目をやった。
 (あれ? 何か引っかかってる……)
 台風で飛んで来たビニールなのか、何かの布ぎれなのか。

 妙に気になったその光景こそ、おぞましい体験の前兆だった。

 しばらく行くと、土砂崩れが道の半分を塞いでいた。
 通り抜けるには、崖ぎりぎりを通らなければならない。

 友人はビビッてしまい、引き返そうと強く主張した。
 しかし、彼は頑なに拒否した。
 枝に何かが絡みついていたあの場所を、なぜか通りたくなかったのだ。

 運転する友人は、さらにモタモタしている。
 仕方なく、誘導するために助手席の者が車を下りた。

 蒸し暑い夜、車内はエアコンをつけ、窓を閉め切っている。
 友人が助手席のドアを開けて降りた瞬間だった。



                
 すっ……入れ替わりに、髪を振り乱した落武者が入って来た……。



 少なくとも、彼の目にはそう見えた。
 たちまち車内のみんなは、一様に気分が悪くなっていく。

 なんとか難所を過ぎて、誘導していた者も戻ってきた。
 車に乗ってややすると、同じように口を押さえ、気分を悪い様子。
 低速で走っていたが、全員、もの凄い吐き気に見舞われていた。

 「おい、車を停めてくれ~!」
 みんなが叫んだ。

 すると、先程まで吐き気を催していた運転者が急に静かになった。
 何事もなかったかのように、黙々と運転している。
 目を前方に見据え、何かが乗り移ったかのように……。

 明らかに様子がおかしい。
 (これって、もしかして無人で走ってるのと同じじゃないか?)
 そう思ったが、彼は半端ではない吐き気に負けた。

 運転している友人のことなど気にする余裕など、まるっきり無い。
 彼は苦し紛れに、外の空気を吸おうと車の窓を少し開けた。

 その瞬間、確かに見た。
 ヒュッと落武者が出て行くのを……。

 やがて車は国道へ合流した。
 不思議なことに、四人とも正気に戻っていた。
 あれほどの吐き気も、堪らない気分の悪さも失せていた。

 (今のは何だったのだ……?)
 みんながそう思った。

 どうやら、彼だけに『見えて』いたようだった。
 落ち武者が車に入って来たのと、出て行ったのを……。



 
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 episode.10「メンバーチェンジ」 投稿:シュガーアメジストさん
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 電子本「逢魔怪奇探偵団」は、実話怪談投稿を元に雲谷斎が大幅に読み物として執筆。





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