本当にあった怖い話・不思議な話


実話怪談






逢魔が時物語メルマガに掲載した実話怪談投稿です








#22 幽霊マンション



 通っていた小学校の近くに『幽霊マンション』と呼ばれる
 廃墟があった。

 ある夏の日、数人で探検しに行くことになった。
 友人のランドセルには、黙って家から持って来たインスタント
 カメラが忍ばせてある。

 その廃墟は名古屋のМ区の閑静な住宅街にある。
 細い坂道を上がった林の中にぽつんと建っていた。

 「これかぁ……」
 廃墟の付近だけが薄暗く、不気味な佇まいだった。

 マンションは四階建てで、一フロアに一世帯。
 外付けの螺旋階段で上がっていくようになっていた。

 建物は半分朽ちていて蔦が生い茂り、螺旋階段も錆だらけ
 だった。

 まずは一階。
 恐る恐る、ゆっくりとドアノブを回すが鍵がかかっている。

 螺旋階段を二階へ上がる。
 ここもドアノブを回したが開かない。

 三階、そして最上階の四階も同じくきっちり施錠してあった。
 みんなは拍子抜けした感じで階下を見下ろしていた。

 「な~んだ、何にもなかったなぁ」
 誰かがそう言い、階段の上から記念に写真を一枚撮った。

 内心ほっとしつつ、不満を口にしながら一階まで降りた。
 すると、いつ現れたのか杖をついた白髪の爺さんが立っている。

 (……このジイさん、何だか気味悪いなぁ)
 みんなが同じようにそう思った。

 「お前ら、こんなとこで遊ぶんじゃない!」

 しわがれた声で、こちらを睨みつけながら大声で怒鳴る。
 硬直していると、爺さんは一人一人を見回しながら続けた。

 「お前らの学校の校長は知り合いだ。言いつけるぞ!」
 持っていた杖を振りかざし、威嚇しながら迫って来る。

 「逃げろー!」
 誰が言ったか、それを合図に脱兎の如く坂道を走り逃げた。

 逃げ遅れて最後尾になってしまい、爺さんが追って来ないかと
 振り返ってみた。




 
ところが、さっきまで爺さんが立っていた所には誰もいない。



 「逃げろ」という合図からわずか数秒である。
 隠れるような場所などどこにもない。

 怒鳴られたよりも、こっちの方が怖かった。


 翌週、学校に行くと何だか教室がざわざわしている。
 四階から友人が撮った写真を見ながら、みんな興奮している。

 友人の撮った写真を見た。
 赤いモヤのようなものが、マンションの下の方を覆っている。

 その辺りは、あの爺さんが立っていた所だった。
 その爺さんが消えたことを、なぜか皆には言えなかった。





  投稿 Nimrodさん(男性・東京都)
 ※メルマガ等掲載にあたり、雲谷斎が原文を全面的に訂正執筆しています。







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