本当にあった怖い話・不思議な話


実話怪談






逢魔が時物語メルマガに掲載した実話怪談投稿です








「猫の帰還」



 昔、ある寒い冬に、私たちは千葉から今の駒沢へ引越した。
 それも私が交通事故で入院している間にだ。


 しかし、この時飼っていた猫が一匹行方不明になった。
 白地にキジトラの斑が入ったウサギ尻尾の子。


 まだ1歳にもならない雄猫だった。
 野良の子だったらしく、尻癖の悪い子ではあった。


 いくら野良の子といっても、まだ餌の取り方も知らないはず。
 どこへ行ったのだろうと心配だった。


 引っ越した理由は、私たちの家が道路用地に引っ掛かったため。
 近所一帯で立ち退きになったのだ。


 無人となったそのゴーストタウンに猫は彷徨い出たのだ。
 おそらく残飯もなく、まして雪のよく降った年の寒空の下。


 そうとう時間が経った今、探しに行って見つかる保証はない。
 多分、そう長く生きられないかも、と思って諦めた。


 それから少し経った、ある寒い夜のこと。
 眠っていると、猫が蒲団に入りたがって来たような気がした。
 反射的に蒲団を持ち上げて入り口をつくる。




 私の脇腹に猫の柔らかく、
 しっとりした毛の感触が伝わる。




 しかし、翌朝になると蒲団に入ってきた猫はいなかった。
 まぁ、猫は勝手な生き物だから珍しいことではない。


 ただ、その夜は部屋のドアをぴったり締めていたのだ。
 猫は入れない状態である。


 さらに、他の猫は朝まで母親のところで眠っていた。
 あの行方不明の子が、戻ってきたとしか思えないのだが……。






  投稿 紗稀さん(女性)
 ※メルマガ等掲載にあたり、雲谷斎が原文を全面的に訂正執筆しています。









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