本当にあった怖い話・不思議な話


実話怪談






逢魔が時物語メルマガに掲載した実話怪談投稿です








「だれっ!」



 うちの家族は、父の転勤先から故郷の地へ戻ってきた。


 とりあえず、昔祖母が一人で住んでいた実家に住むことに。
 ところがこの家、やたらと家鳴りのする家だった。
 パシッ! バキッ!……と、昼夜を問わず頻発する。


 「古い家だから材木が中で割れて、あんな音がするのよ」


 母は気にする風でもなくそう言っていた。
 まだ私も弟も幼かったので、そんなものかと思っていた。


 さて、中学の頃、私はひとりで二階で寝ていた。
 八畳六畳三畳と三部屋があり、三畳で勉強して六畳で寝ていた。


 襖で仕切られた八畳間とは、ぴっちりと襖を閉めていた。
 その部屋は、かつて祖母がお茶の稽古に使っていた部屋。
 昼間は大丈夫なのだが、夜になるとなんとなく不気味だった。


 ある夜、寝ようとすると、ポツポツと雨だれのような音がする。
 雨が降っている気配はないが、気になるので耳を澄ましていた。
 音は隣りの八畳の間から聞こえてくる。

 八畳の間には床の間があり、その壁の辺り方か音がしている。
 外に樋が通っているので、雨水の音かもと思った。


 窓を開けてみたが、やはり外は雨など降っていない。
 水の音なんかするはずがないのだ。


 私はゾッとして、二階にいることができなくなった。
 布団を下に降ろして、その日からずっと下で寝るようになった。


 奇妙なことはこれだけではない。
 ある時、三畳の間で勉強をしていると窓に異変が起きた。


 突然、窓がビリビリ揺れはじめ、窓の敷居に置いていた
 プラスチックの筆入れもカタカタ揺れている。

 地震かなと思った。
 ところが天井の電気の傘は見ても、まったく揺れていない。
 ただ窓だけが、かなり長い間ビリビリと振動していたのだ。


 「ねぇ、いま地震あった?」
 階下に降りていって家族に訊いても、みんな「ない」と言う。


 それよりも、何より不気味だったことがある。




 上で勉強していると、誰か階段を上がって来る音が時々する。




 母が上がってくる足音とそっくりだった。
 しかし、誰もいないし、誰も上がって来ていない。


 そんなことがあって、私は下の部屋を使うようになった。
 代わりに弟が上の部屋を使いはじめたが、どうやら同じ音が
 聞こえるらしい。


 「だれっ!!」
 時々、上からそう叫ぶ弟の声がしていた。


 階段のすぐ横の部屋に家族全員がいて、
 階段を上がっていく音など誰も聞いてないのに、
 上にいる弟だけに、誰かが上がってくる音が聞こえていたのだ。


 まあ、いろいろあった家だったが、原因は不明のままだ。






  投稿 yurayuraさん(女性)
 ※メルマガ等掲載にあたり、雲谷斎が原文を全面的に訂正執筆しています。









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