本当にあった怖い話・不思議な話
【 泣ける怪談 】
その夜、両親は用事で出かけていた。 家には弟と二人だけ。 二人とも学校では剣道部だったので、木刀もあり不安はない。 テレビやゲームで夜更かしした後、零時前には布団に入った。 ガッシャーーーン! 誰もいない家の中で、ガラスの割れる音がした。 泥棒だったらまずいと、弟と二人木刀を持って見回ることに。 窓ガラスを割って侵入したのかと、家の中を点検した。 ところが、特に異常は見つからない。 弟と二人で何だったんだろうと首を傾げながらも寝た。 次の朝、母から妙なことを言われた。 賞状の額が一枚落ちていると……。 深夜に帰ってきた時は気づかなかったが、朝気づいた。 額は確かに和室の床の隅に落ちていた。 しかも、まるでそっとそこに置いたかのように。 表面を下にして、歪みもせずに落ちていた。 ガラスは木っ端みじんだったが、少しも飛散していない。 誰も夜中に気づかなかったのは、そのせいかも知れない。 弟と聞いたガラスの割れる音は、この額に間違いなかった。 ただ、なぜ落ちたのかは不思議だった。 額が飾ってある和室は両親の寝所。 額はそれ1枚だけでなく、他にも何枚か飾ってある。 きっちりと梁の溝に差し込まれており、自然には落ちない。 地震ならわかるが、その場合は他の額も落ちるはず。 いったい何だろうと不思議に思っていると、一本の電話があった。 病床に伏していた伯父さんが、亡くなったという知らせ。 亡くなったのは、 ちょうど昨夜の12時過ぎだという。 突然の訃報に驚きながらも、母が言った。 「伯父さんが来たんだよ。知らせに来たんだよ」 それが誰しもが納得できる解釈だった。 偶然の一致を超えた、異変。 そっと置かれたように落ちた額。 一片とも飛散せず割れていたガラス。 伯父の最後の気遣いだったのかも知れない。 投稿 F・Kさん(男性) ※メルマガ等掲載にあたり、雲谷斎が原文を全面的に訂正執筆しています。 |
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