本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


<本 編>






∴‥∵‥∴‥∵ 中庭の幽霊 ∵‥∴‥∵‥∴


投稿:山本山さん(男性)
執筆:雲谷斎



 会社の寮で体験したこと。
 寮は田畑に囲まれ、近くには洞窟などもある長閑な場所。

 建物は中庭を中心に西側に玄関があり、東棟、北棟、南棟に部屋がある。
 北棟と東棟の間には、中庭に入れるように間隔が空いている。
 私の部屋は東棟の二階で、南棟側の端の部屋。

 ここには幾つかの噂があった。
 一つは中庭に女の幽霊が出る、という言い伝えだ。

 ある日、同室のM君と夜遅くまで話していた。
 時計を見ると一時を回っている。
 そろそろ寝ようかと電気を消し二人とも蒲団に入った。

 カチッ! 突然エアコンが動き出した。

 二人は起き上がり、電気を点ける。
 「タイマーにした?」とM君に訊いたが、
 「いいや、してない」とのこと。

 深く考えるのをやめ、調子でも悪いのかとリモコンを切って
 寝ることにした。

 電気を消し蒲団に入った途端、カチッ! またかと思い電気を点けた。

 「壊れてんのかな?」
 と、今度はエアコン本体のスイッチを切ってまた寝ることにした。

 二人同時に蒲団に入る……。
 カチッ! またしても動いた!

 電気を点け、しばらく二人で原因を話していたが、
 結論は接触が悪いのだろうと片づけ、コンセントを抜いた。
 これでもう絶対に動くことはない。

 二人はもう大丈夫と、安心して蒲団に入った。
 が……!


 カチッ! ゴォー……


 その瞬間、二人は部屋から逃げ出し、隣の部屋へ駆け込んだ。
 しかし、隣の二人はもう寝ている。

 仕方なく恐る恐る部屋へ戻ったら、エアコンは停まっていた。
 何なのだと二人は怒りながらもドキドキしながら寝たが、
 幸いなことにその夜はそれ以上は何も起こらなかった。


 数日して、隣の部屋でT君と本を読んでいた時のこと。
 睡魔に襲われて、うとうとしている内に眠ってしまったようだ。
 そのうち耳元で本をパラパラとめくる音がする……。

 起きようとしたが、金縛りに遭っていてまるで動けない。

 T君はどこだと思ったが、部屋にはいない様子。
 しばらくじっとしていると、




 
「フフフフ……」女の笑い声がする。

         




 噂の中庭の幽霊女か?
 見てやろうと思って、何とか目を開けたが目の前には何もいない。

 その日の夜のこと。
 自室でM君とたわいもない話をしていた時、ふとトイレに
 行きたくなり部屋を出た。

 トイレは東棟にはないので南棟へ行く。
 用を済ませて戻ろうと廊下を歩いていた。
 もうすぐ東棟の廊下、そこを曲がろうとしたその時……。

 空気が重く、雰囲気が異常に悪い。

 何かいる……。
 まずいと思い、辺りを見まわしたが何もいない。
 よかった、気のせいかと思い廊下を曲がった。

 しかし、空気はしだいに重く、だんだんと張り詰めていく。
 何気なく廊下の突き当りを見ると、壁に月明かりが映っているのか
 一部分だけ明るい。

 窓の外を見ると、月は雲に隠れていて見えない。
 えっ!? 
 もう一度壁を見る……一瞬にして凍りついた。


 そこには、生首が浮いていた。


 しかも、ぼんやり妖しく光っている……。
 女である。顔がぼやけて見えない。

 私はすかさず部屋に飛んで入り、M君にすぐ寝ようと言い、
 その日は頭から布団をかぶって寝た。

 数日後。
 会社が夏休みに入り、M君も実家に帰ったため部屋は自分一人。

 あれほどのことがあったのに、さほど恐怖心というものがない。
 やばいと思うことはあっても、怖いという感情はなぜかない。

 幽霊はいる、いて当たり前だと思っているし、出たからなんだと
 強気でいた頃だ。

 そんな夏休み中のある日。
 一人の部屋で、寝ようと蒲団へ入った。
 どれぐらい寝ただろう、いつの間にか夢を見ていた。

 すごく綺麗な女の夢。
 その見知らぬ女といちゃついている。

 とその時、意識がはっきりとしてきた。
 よく自分の寝言で起きることがあるが、それである。
 意識はある。手を動かそうとするが金縛りだ。

 自分の手の位置を確認する。
 どうやら腕を組んで寝ていて、体は右側を向いている。

 んっ!? 
 その先にはM君のベッドがあり、その上に女が座っていた。

 しばらく女と見つめ合っていたが、夢の女であることに気づいた。
 どうしようと思っていた矢先、女は「フフフフ……」と笑った。
 一瞬ドキッ! とした。笑い声に聞き覚えがあった。

 そう、その笑い声は以前に隣で聞いた声である。
 そのとき、女がスゥーッと音もなく立ち上がり目の前に立った。

 「(やばい……)」
 そう頭の中で思った。
 
 殺されてしまうかも……そんな気がしてならない。
 すると、立っていた女の顔が私の目の前に降りてきた。

 頭だけが胴体から離れてきたのである。
 なんとそれは、この前、廊下の先にいた生首だった!

 心臓が止るかと思った。だが、まだ見つめ合っている。
 というより目が逸らせない! まずい、非常にまずい!

 このままでは本当にとり殺される、そう思った私は頭の中で
 お経を唱えた。

 次第に目が閉じていき、ひたすら同じ呪文を唱えていると
 そのうち寝てしまった。
 朝になり目を覚ますと、ああ夢だったのかと思った。

 しかし、そこに残されていたものは……。
 向いのベッドと私のベッドの腰辺りに落ちていた長い髪の毛……。




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       <本編「中庭の幽霊」データ>

 ■原作投稿者:山本山さん(男性)
 ■2008年度 読者が選ぶランキンランキン第7位  66.00点
 ('08年に発行した逢魔が時物語」メルマガ掲載話の読者採点結果)

 投稿された話を大切にしながら、雲谷斎が加筆・執筆しました。

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