本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


<本 編-2009>






∴‥∵‥∴‥∵ 防空壕トンネル ∵‥∴‥∵‥∴


投稿:なみたつさん(男性)
編集:雲谷斎



これは神奈川県横須賀市の海岸近くのトンネルで起きた話。

うちの家のそばには防空壕が多い。
今では倉庫になっていたり、貫通させてトンネルになっていたりする。

子供の頃、自転車に乗ってそんなトンネルを通って、
その先の入り江によく釣りに出かけていた。

百メートルぐらいの長さで明かりもなく、手掘りのため壁もデコボコで、
染み出た水が落ちてくる、そんなトンネルだった。

一人で自転車に乗っていると、地面から出た手にタイヤを掴まれて転ぶ、
という噂もあった。

夏休みのある日、僕は一人でそのトンネルを通って釣りに行った。
トンネルに差しかかると、当然噂を思い出す。

しかし、噂は噂だと、今まで何度も通ってると、自分に言い聞かせて
中に入った。

『ガシャーーン!』
派手な音を立てて転んでしまった。

きっと、デコボコだからだと思った。
膝がヒリヒリする。しかも、チェーンが外れている。

自転車を起こして、とぼとぼと出口に向かった。
ふと、後ろから男の人が話しかけてきた。

「転んだのか? 一緒に押してあげるよ」
「あ、ありがとうございます」

すっと、自転車の後ろを持って押してくれた。

一人で押すより軽くなったし、何よりこんな心細いところに一人より、
ずっと心強かった。
途中、いろいろと話しかけた。

この先でよく魚が釣れること、泳いで魚を突いたりもしていること、
それから手が出る噂についても……。

出口に差しかかり、ふと気づくと僕しか話していない。
自転車は軽いまま。
誰かが押してくれている……はず。



そっと、振り返る……。
               誰もいない。





トンネルの中は明かりがないとはいえ、夏の昼間。
少なくとも誰かがいればわかるが、全然人影もない。

怖いけれど、帰るにはこのトンネルをもう一度通らなければならない。
夕方になる前まで釣りをして、陽が落ちる前にまたトンネルを戻った。

後ろが気になって気になって仕方なかったが……。




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       <本編「防空壕トンネル」データ>

 ■原作投稿者:なみたつさん(男性)
 ■2009年度 読者が選ぶランキンランキン第7位  66.00点
 ('09年発行の逢魔が時物語」メルマガ掲載話の読者採点結果)

 投稿された話を大切にしながら、雲谷斎が加筆・執筆しました。
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