本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


<本 編-2009>






∴‥∵‥∴‥∵ 十一ヶ所 ∵‥∴‥∵‥∴


投稿:midoriさん(女性)
編集:雲谷斎



キャンプで山奥まで来た日のこと……。

飛鳥(仮名あすか)は、テントに荷物を置くと外に出た。
バスで何時間も走ったせいか、さすがに酔ってようだ。

「はぅ〜……」
飛鳥はコテッと近くの木に腰をかけた。
すると……。

『……す……て……。け……て……』

「!?」
えっと思って振り向いても誰もいない。
飛鳥はさらに顔をブンブン振るように回して辺りを窺った。

(い……ない……よね……?)
飛鳥は小さな不安を胸にテントへ戻った。

「あっ、飛鳥ちゃん!」
「麻里ちゃん」

「どうしたの? 顔色悪いよ?」
「うん、ちょっとね。さっきの乗り物酔いがさめてないみたい」

「そう? 大丈夫?」
「うん……」

小さな五人用のテントに十人ほどの人が集まっている。

「なに? なんでこんなに人が集まってるの?」
「今日の夜にね、肝試しを皆でしようって言ってたの」

「ええ……」
「でもさぁ、やっぱり先生とかも見回り来るじゃん? だからみんなで
 計画立ててたんだよ」
麻里は明るく言った。

「そう……。でも、おばけ役とかも作るんでしょ?」
「まぁねっ! 今のとこ五十音順の一番上の人がおばけ役って
 なってるよ!」

(それじゃあ……私も!?)
かき立てられる不安をよそに、夜は更けていった。



なんと、中学二年生全員が抜け出しに成功した。
みんな林の奥の方へと足を運ぶ。
そこでライトを持った麻里が皆の前に立ち、ルールを説明した。

「じゃあ、ここから百メートルくらい離れたお寺まで行って
 帰って来てね。男女二人組みペアで」

ルール説明がどんどん進む。
飛鳥はひとり周りをキョロキョロしながら様子を窺っていた。

「てことで、おばけ役は十二人ねっ! 一人ずつだから十二ヶ所に
 おばけ役がいるよ!」

(えっ? 一人ずつ! そんな……)

飛鳥の不安をよそに事は進んでいき、とうとう指定された場所に
行くことになった。

皆が別れる寸前、飛鳥は友達の麻里に頼み込んだ。

「私、麻里ちゃんと一緒にいていい? なんだか怖くって……」
「ん? あぁ、いいよ。私も微妙に怖いし」

そんなこんなで皆が所定の位置についた。
しばらくすると突然、後ろにいる麻里が話しはじめた。
低く、押し殺したような声で……。

「ここね……昔、自殺の名所って言われてたんだよね」
「な、何? 麻里ちゃん、突然」

飛鳥は震える声で麻里に尋ねた。
それでも麻里は話すのをやめない。

「痛いんだって、すごく。首吊って、腕切って……」
「まっ……麻里ちゃん、やめてよ!」

それを無視して麻里の話は続いた。

「こんな話、知ってる? 昔、夫に裏切られた女がここで自殺したの。
 今でも、待ってるらしいよ」
「……誰を?」

「人間を……。生き血を……」

ゾクッとした。

麻里ちゃん、冗談、やめて!」
「ん、なーに? 何のこと?」

麻里はさっきと人が変わったように、ケロっとしていた。

「え? 麻里ちゃん……
「ほらほら、人が来たよ! よぉ〜し、脅かすぞぉ〜〜!」


訳がわからないまま肝試しが終わった。

「ああ、面白かった!」
皆がそう言う中で、飛鳥だけふさいでいた。

「皆、ちょっと確認! ちゃんとおばけ役十二ヶ所にいた?」
 ひとりの女の子が言った。

「うん、いたよぉ〜! 一人だけ脅かしもいないでただ立ってる
 だけだったけどね」

ええ? 十二ヶ所に『いた』って……?

どうして? おかしい……絶対おかしい……。
だって、私は麻里ちゃんと一緒にいたのに。
だから、おばけ役がいたのは……



       
『十一ヶ所だけのはずなのに!』
     



「……ヒッ!」
皆、笑顔でいた。この中でそんな事実、言えない。

でも……私と一緒にいた麻里は、一瞬いつもの麻里ではなかった。

飛鳥はそっと隣りの麻里の方を見た。
でも、それはいつもの明るい麻里だった。

もう一人の麻里……、
いや、麻里の声を借りた何かがいたのだろうか……。




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         <本編「十一ヶ所」データ>

 ■原作投稿者:midoriさん(女性)
 ■2009年度 読者が選ぶランキンランキン第10位  64.00点
 ('09年発行の逢魔が時物語」メルマガ掲載話の読者採点結果)

 投稿された話を大切にしながら、雲谷斎が加筆・執筆しました。
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