本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


<本 編-2010>






∴‥∵‥∴‥∵ 旅館の絵 ∵‥∴‥∵‥∴


投稿:虹の花さん(女性)
編集:雲谷斎



Rさんという女性が体験した話。



友人と旅行に出かけ、ゆっくり観光を楽しんで旅館に戻った。

その旅館は、ロビーや廊下にたくさんの絵が飾ってあった。

もちろん、Rさんたちの部屋にも数枚飾ってある。



とりあえず、汗を流そうと友人と風呂に行った。

「やっぱいいねぇ、温泉は!」

「……え? う、うん」



なんとなく友人は元気がない。

疲れたのかなと思いながら、気分転換に友人と庭を散歩した。



「どうした? 何か元気ないみたいだけど」

「……うん、じつはね、さっきからついて来てるのよ」

「えっ、誰が?」



自分たちの周りを見渡しても誰もいない。



「誰も、いないみたいよ。気のせいじゃない?」

「うん……だといいけど」

彼女の顔は、誰が見てもわかるぐらい青ざめている。



そんな彼女を気にしつつ、部屋に戻る。

改めて部屋を見渡してみると、空いている壁面には絵がずらりと。

そんなに上手くない、よく言えば味のある絵ばかりだった。




    「あんまり趣味のいい絵じゃないよねぇ」
      
  ちょっと圧迫感さえ感じるほど、絵の額に囲まれていた。




「ん……? 何これ」 

一枚の絵の額の下から、何かが外れて垂れていた。



気になったので、額をめくってみた。

すると、何かお経らしきものが書かれた古びた和紙が貼ってある。

額の裏ぴったり貼られていたものが、剥がれそうになっているのだ。



気持ち悪いので、額を元に戻して寝ることにした。

なぜか気が立って二人とも寝付けなかった。

原因はわかっているが、認めたくはなかった。



電気を消し、無理やり目を閉じていると……。

ドン……ドン……ドン、ドン、ドン……ドン

どこからか太鼓の音のような、鼓動の響くような謎の音が聴こえてくる。



低く、くぐもったような正体不明の音は恐怖をそのものだった。

いつまでもいつまでも、その音は続いた。

寝床の中で、二人はまんじりともせず一夜を明かした。



朝になって、旅館の人にそのことを訊いてみる勇気はなかった。

なぜなら、お経の紙が貼ってある絵は、部屋、廊下、ロビー

旅館の絵すべてだったから……。




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          <本編「旅館の絵」データ>

 ■原作投稿者:虹の花さん(女性)
 ■2010年度 読者が選ぶランキンランキン第3位  70.50点
 (2010年発行逢魔が時物語」メルマガ掲載話の読者採点結果)

 投稿された話を大切にしながら、雲谷斎が加筆・執筆しました。
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