本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


ここは「縛」の部屋です





手首


          ■■■暁政さん(男性)からの投稿■■■



   これは、母のクラスメートに聞いた話です。
   その人には生後七ヶ月の赤ん坊がいました。
   その赤ん坊がある日、夜中に急にミルクを吐き出して、あっという間に
   40度の高熱にまで達しました。

   すぐに救急車を呼びました。
   診断結果はウイルス感染の急性腸炎らしく、医師は
   「気をつけないと、子供はあっという間に弱ってしまいますよ」
   と厳しく言いました。

   でも、その人の困った顔を見るとやさしく「きっと、大丈夫です」とも
   言いました。しかし、熱は一向に下がりません。静かに時は経ちます。
   その人は、ついウトウトと寝てしまいました。

   はっと目を覚ますと、ドアがカチャッと開きました。
   「点滴を換えにきた看護婦さんかな?」と思いました。
   だも、入ってこようとはしません。

   「誰?」と、思わず言いました。
   少し開いたドアから何か白いものが見えました。
   それは、なんと人間の手でした。

   わかった瞬間、イスに座りながら金縛りに遭いました。
   体がまったく動きません。白い手は手首から上は見えません。
   ベッドを見ると、なんと赤ちゃんがハイハイしながらドアに見える白い手に
   向かっているのです。

   まだ七ヶ月の赤ん坊がハイハイなんて出来るはずありません。
   これはまずいと思い、止めようとしました。しかし、体が動きません。
   「だめ! 行っちゃだめ」と繰り返し言いました。

   赤ん坊はなおも進みます。あと少しというところで、赤ちゃんがクルッと
   無表情なハニワのような顔で振り返りました。
   その顔がジーッとこっちを見ています。

   しばらく見ていると、みるみるうちにいつもの子供の顔に戻ってきました。
   「ウェーン、ウェーン」といつもの泣き声です。熱も下がっています。
   ドアを見ると何もありませんし、ドアもぴっちり閉まっています。

   「寝ぼけて幻覚を見たのね」と確信しました。
   元のベッドに寝かせ、あまりに汗をかいたのでノドが乾き水を飲むため
   廊下に出ようとしました。

   すると廊下から、ペターン、ペターン……と素足で廊下を歩く音が聞こえる
   のです。
   ドアを少し開けてそっと見ました。
   そこには裸足で歩いている、ピンクのパジャマを着た女の子がいます。

   顔は見えませんが、おっかぱの女の子です。
   一人じゃありません、誰か一緒。よーく見るとさっきの白い手です。



        手首から上はありませんが、
        その白い手と手をつないで歩いています。




   クルッとこっちを見ました。
   なんと、さっきの赤ん坊と同じ顔……ハニワみたいな感情のない顔です。

   バタンとドアを閉め、赤ん坊と同じベットにもぐり込み、頭から布団を
   かぶりました。
   廊下に人の気配を感じるのですが、いつかそのまま寝てしまいました。

   朝がきて、もうすっかり赤ん坊の熱は下がりました。
   もう大丈夫だと安心し、ノドが乾いたので洗面所に行きました。
   二人の看護婦が何か話あっています。

   「風邪だからって、甘くみちゃいけないわねー。404号室の子供」
   404号室ていったら、私の部屋の隣の部屋です。
   二人の看護婦に「何かあったんですか?」と聞きました。

   「いえね、その部屋の子供がね、今朝風邪で亡くなったんだすよ」
   昨晩の出来事が頭をよぎります。
   「もしかして、おかっぱのピンクのパジャマを着た女の子ですか?」
   「わかりません。清掃の人に聞いたんでよくわ分からないんです」

   あれからうちの子は無事退院し、今は小学校一年生です。
   あのときの奇妙な出来事は今でも忘れられません。    (bk381)






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