本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


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見知らぬお兄さん


         ■■■九紋竜史進さん(男性)からの投稿■■■




   16歳の憧れといえばバイク、18歳の憧れといえば自動車ですが、
   幼い頃は? といえば自転車でしたね。

   私の小学校校区では低学年による自転車運転中の事故が多発し、ために、
   校則では3年生以下は乗ってはいけないという、理不尽極まりない校則が
   ありました。

   やってはいけない、と言われると、やりたくなるのが人の常。
   当時、2年生だった私は4年生の兄の自転車を無断で借りて、乗り回して
   いました。

   当然、三年以下は禁止されているんで、人気のないトコを見計らってやって
   ましたが、これがまずかった。
   兄の自転車なので、当然サドルが高い訳でバランスを崩しやすいのです。

   ここまで書けばもうお分かりでしょうが、見事に横転し、頭をアスファルト
   の大地にぶつけて流血です。

   「痛い……」助けを求めようにも、人はいません。(そらそーだ)
   倒れた自転車を起こそうにも、痛くて力が入りません。
   「どうしよう……」
   痛いのとどうしたらいいのかと、困ってしまって泣き始めました。



   
すると、どこからともなく、見知らぬお兄さんが来てくれました。



   「どうしたの? ボク、大丈夫?」
   藁にもすがりたい私は自転車でコケたことを説明し、自転車を起こして
   欲しいと頼みました。

   「まず、薬持って来てあげるよ」
   と薬と包帯を持ってきてくれ、手当てをしてくれました。
   そして「家はどこ?」とおんぶして、連れて行ってくれたのです。

   道々、「もうすぐだよ」とか「頑張って」とか励ましてくれながら。
   そうして家に着き鍵を開けて入るや、
   「もう大丈夫だよ。もうすぐお姉さんが帰ってくるからね」
   とドアを開けて帰ってしまいました。

   入れ替わりのように姉が帰って来、頭に包帯姿の私にビックリ。
   「史進! どうしたんね? その頭?」
   「あ、姉ちゃん。実は……」と、事の顛末を説明しました。

   「お兄さん? そんな人見らんかったけどねぇ」
   そんなはずはない。今出て行ったばかりなのに。
   それに、家の外の道は階段を降りての一本道のみ。

   入れ替わりで帰って来たのだから、姉から見て前方に私がおんぶされてる
   姿が見えたはず。

   「本当っちゃ。今この道通って来たんやけ」
   と、姉を階段の下まで連れ出すと、なんと! そこに自転車があるでは
   ありませんか!

   確かに、お兄さんは私を両手でおんぶしてたはず。
   置きっ放しにしてたのに、いったい誰が……。
   そう言えば、「お姉さんが帰って来るからね」って、どうして姉がいる
   ことや帰って来ることを知っていたんだろう……。

   結局、自転車に乗ったことを怒られて、お兄さんについては誰も気にも
   止めてもくれませんでした。

   あれから16年。お兄さんの顔もおんぶしてくれた感触も覚えていません。
   でも、時々バイクに乗っている時に思い出します。
   「もし今事故ったら、またお兄さん、来てくれるかなぁ」って。(ij377)






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