本当にあった怖い話・不思議な話



ここは「異」の部屋です





−ヘビ館/2−


          ■■■M・Yさん(男性)からの投稿■■■



   一目散にと走りながら、頭の中ではいろいろな考えがぐるぐる回っていた。
   二階といえば、今日これから私が寝る部屋である。かんべんしてよー。

   お袋に訳を話して部屋を代えてもらおうか…いやいや、きっと腰を抜かす
   だろうから、よけいな心配をかけてはいかんいかん。

   確か女子高校生と言っていたもんな、化けて出たらかわいい若い子と一緒に
   身の上話でもしようか、いやいや、かわいいとは限らないではないか。
   親父に相談するか……いや、あれだけ格安だと喜んでいたのだから、
   バカも休み休み言えと一笑されてしまうだけだ。

   ウー、ハア、と頭は果てしなく混乱していく。
   それでもなんとか玄関を開けて、ただいまと言ったときには、酒に酔って
   寝てしまう作戦へと心は決まった。


   それでも夕食の時に、それとなくOくんについて「あの人、なんか変な人
   だったよ」と探りを入れたが、「そう」というそっけない返事で終わって
   しまい、長旅で疲れたからと言って、早々と問題の二階へと上がっていった。

   六畳ほどの部屋には、すでに床の用意がしてあり、すぐにでも寝られる状態
   にあった。
   恐るおそる天井を見ると、確かに大きな木の梁があり、まさに首をくくって
   下さいと言わんばかり。

   急いでお袋に、ビールを五〜六本持ってきて欲しいとお願いした。
   じつは何を隠そう、当時の私はアルコールはまったくダメで、コップ一杯の
   ビールでも真っ赤になって寝てしまうほど。

   お袋が「東京行って、お酒が強くなったねえ」と言いながら持ってきたが、
   理由も言えず、「酔って寝た方がぐっすり眠れるから」と言い訳をして
   飲み始めた。

   「出るなら出て見ろ。今か? あれか?」と、とにかく早いペースで
   がぶ飲みし、三本目の栓を開けた頃にはだらしなく眠りこけていた。


   すずめの鳴き声と、明るく射し込む朝陽で目を覚ましたのは、もう九時を
   まわった頃で、何事もなく無事過ごせた安堵感でいっきに腹が空いてきた。

   もちろん、この後の数日は何も変わったことはなく、Oくんとも出会わない
   まま、滞在の三日間は毎日スケッチに明け暮れ、水郷の美しい街並みを満喫
   して東京へと戻っていった。

   このまま私さえ黙っていれば、事態はさして深刻なものにはならないので、
   忙しい東京の生活リズムに流されながら、記憶の奥底へといつしかうずもれ
   ていくはずだった。

   早や三週間が過ぎ去り、何もかも平常の学生生活をおくっていたある日、
   その時は来た。



      
ふたたび背筋が凍り付くような、震撼したその日が……。



   いつものように登校しようと、お茶漬けをかき込んでいた朝、電話が鳴った。
   同じ東京に住んでいる兄貴からだった。

   それは「ちょっと理由は言えないけど、親父たちが急遽引っ越しをすること
   になったから、新しい住所は決まり次第連絡する」という内容だった。

   私は理由が言えないということに納得できず、「どうして? 良い家だと
   あんなに喜んでいたのに……。夫婦喧嘩かなんかしたの?」と問いただすと、
   「いや。別に心配はいらないから。ただ、おまえにだけは言えないから」
   と強調して話すのである。

   煮え切らない私は、フッと例の話が脳裏をかすめ「もしかして、あの話が
   原因じゃないの?」
   「あの話って?」と兄貴。

   「いや、違うかも知れないけど、この間帰ったときに、Oくんっていう人
    から、二階で首吊り自殺があったと聞いていたけど、それがわかったから
    なんじゃない?」
   「えーーーー。おまえ、知ってたの?」と、今度は兄貴が驚いている。

   兄貴としては一人暮らしの私が知ったら、二階で寝ていただけに怖がって
   たいへんだからという配慮で、言いたくなかったというのだ。

   とにかく真相が複雑なので、電話じゃ長くなるからこっちへ来てから話す
   ということになり、学校はさぼり兄貴のアパートへと急いだ。 

   まず、なぜそもそも私が自殺事件を知っていたのかを知りたいという
   ことで、すでに書いたOくんとの一部始終を話した。
   そして兄貴は続けた。−続−                (ij453)






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