本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


ここは「異」の部屋です





−ヘビ館/3−


          ■■■M・Yさん(男性)からの投稿■■■



   兄「いやぁ。驚いたなあ。おまえがそんな経験しとるとは知らんかった。
     よう怖なかったなぁ」
   私「そりゃあ、めちゃくちゃ怖かったよ。でも、酔ってすぐ寝たから
     よかったけど」

   兄「まあ、しかし、そうなるといったいどこから話したらいいか……。
     ま、とにかく親父が話してくれたことをかいつまんで話そうか。長い電話
     だったもんなぁ。おまえが帰ってから一週間くらいして、玄関の戸を
     ドンドンと叩く音がしてな、お袋が『どなた?』って言ったら、
     『おれやー。となりの0やー』

   つまり、おまえの会ったそのO君が来たんだって。お袋が玄関を開けたら、
   手に鳥かごに入った鳥を持っていたらしい。
   どうやら、あきたからあげるということで、お袋もほら、昔から鳥好き
   だったろう。だから、じゃあいただくわと言ってもらったんだと。

   ところが夕方になって、またドンドン叩くので出ると、いきなり
   『鳥を返してくれ』と言うんだと。まさにしゃれでもなく鳥を取り返しに
   来たわけだ。お袋はしかたなく返したが、その時、おまえがOくんは
   ちょっと変だと言っていたことを思い出したらしいんだ。

   気味が悪いけど、とにかくまぁ返して帰ってもらったからと安心していたら、
   次の日にまた、ドンドンとドアを叩くんだと。

   また、あいつだと思って、お袋も嫌々『今度は何?』と開けたら、いきなり
   後ろ手にドアをビシッと閉めて、ものすごい形相で、
   『あんた、知っとうやー。二年前ここの二階で首吊り自殺があったんでー。
   女子高校生が化けて出るでー』と吐き捨てるように言って、すごい勢いで
   出ていったらしい。

   後に残されたお袋は腰が抜けてしまい、その場にへたり込んでしまった
   らしい。それでもなんとか気を取り直して親父に電話をし、
   『大至急帰ってきて』と叫んだわけ。

   親父は一部始終を聞いて頭に来て、隣のOくんの家に迷惑せんばんと
   息巻いた。ところが、そこのおばあさんが『迷惑をかけて申し訳ないのう。
   少ないがこれを納めてお許し下され。そして決してこのことは人に言わん
   でくれ』と言って封筒を渡されたんだと。

   家に帰って開けてみると三十万円入っていたんだ。
   親父は、これはようするに口止め料ということだとわかり、ということは、
   この話はまんざら嘘でもないかも知れないと考えたんだ」

   私「なに、それ。それでどうしたの?」
   兄「それで親父は、その家の仏壇に書いてあるお寺さんに話を聞きに行った
     らしい。そしたら、出るは、出るは、もう奇妙怪奇な話ばかり。



     まず、そもそもその家はその昔、座敷牢として使われており、
     罪深い人は離れに閉じこめられて餓死させられたらしい。




     じつは、お袋が腰を抜かしたのも、以前から座敷で和服を縫っていると、
     どこからともなく女の人の泣き声が聞こえてきたことが何度かあり、
     それとOくんが言い放った自殺の話が重なってのことらしい」

   私「嘘やろー、おー、怖わーー」
   兄「いや、でもその泣き声と自殺は関係ないんだ。だって自殺したのは、
     じつは二年前にこの家を借りた五十がらみのおっさんなんだ。
     おまえが聞いていた首吊り自殺は本当にあったんだけど、女子高校生で
     はなく、おっさんなんだ」

   私「えーー。そんなーーー。じゃあ、あの時、もし出ていたら卒倒してた
     かもね」
   兄「そうだよ。出なくて良かったよ」
   私「まぁ、気味悪いけど、なにも引っ越さなくてもいいのにねー」
   兄「いやぁ、それだけじゃないんだ。じつは、あの家は別名ヘビじいさん
     という異名のある、庭いじりや家をきれいにすることが好きで、庭で掃除
     の度に隣のおばあさんに『今日は、こんだけ採れたでー』とヘビを指の間
     にぶらさげて見せていたんだと。それでヘビじいさんなんだけど……。

     このヘビじいさんが十年前、原因不明の病気で両目が突然見えなくなり、
     死んじゃったんだと。それ以来、あの家は呪われて、新しい人が入る度に、
     変な死に方をしたり、短期間で引っ越したりを繰り返しているんだそうな。

     おまえも見て知っているだろうけど、立派な門柱も敷石も実は墓石で出来
     ており、だから供養の意味でお寺さんが立派な仏壇を設置したというわけ」

   私「うわー。何それーーーー。気色悪りーー」
   兄「そうだろう。だから親父はあわてて引っ越したんだよ。きっと、
     そのOくんにヘビじいさんが乗り移って、いろいろと騒動を起こし、
     この家に新たに住む人を追い出したんじゃないかと思うんだ。
     隣のお婆さんの話では、そうとう家を大事にしていたらしいから」

   私「でも、どうしてOくんなんかに取り憑いたのかなぁ」
   兄「それなんだが、じつはOくんは精神的な病気で入退院を繰り返していた
     らしいんだわ。だから、取り憑きやすかったんじゃあないかなぁ。
     それにしても、おまえも度胸があるなぁ。よく怖くなかったよなぁ」

   私「ばかな! 女子高校生と聞いていたから、出てきたらどうして自殺
     なんかしたのかと話すつもりだったけど、この話をすべて知っていたら、
     一目散にすっとんで東京へ帰ってきていたよ」       (ij454)






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