本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


ここは「異」の部屋です





−ウォークラリー−



■■■CatBlueさん(女性)からの投稿■■■



   これは、私の友達から聞いた、ほんとにあった話らしいです。

   北海道の某湖。
   実はそこは俗に言う「心霊スポット」として、(変な言い方ですが)一流と
   言ってさしつかえのない場所で、「深夜、湖の湖面に髪の長い女性が立って
   いた」や「青い光が追ってきた」という話が絶えない場所でした。

   私の出身地、旭川からそこまで90kmにも及ぶ「ウォークラリー」という、
   延々と歩く、というイベントが毎年開催されています。
   それは、一泊二日程度のもので、体力に自信のあった友人(仮にK君)は、
   友達7人を誘い、担任と知り合いの兄を引率につけ10人で参加しました。

   そして、当日。
   気持ち悪いくらいの快晴で、まったく何も起こりそうもありません。
   私の友人は、「別に何も起こりそうにないや」と、10人全員で歩き始め
   ました。

   多少暑かったのですが、みんなそれなりに楽しみ、行程の七割あたりで
   テントを張って、一夜を怪談話で明かしました。
   ですが、二日目……。
   順位は中間あたり……だったのでしょうか。

   まあ、とりあえずゴール地点の「ログハウス」にたどり着き、それなりの
   達成感を得つつ三々五々に集まり、北海道の星空を楽しんでいました。
   と、その時です。

   「あれ……?」担任の先生が首を傾げました。
   「どうしたんですか?」
   K君が聞くには、「メンバーが2人足りない」とのことでした。

   K君の親友U君と、その友達のEさんの姿が見えません。
   「駆け落ちでもしたんじゃないの?」誰かが言いました。
   しかし、みんなそんな冗談で笑えません。

   なぜなら、その湖の周りは深い森に囲まれ、一度見失うと地元の人でも
   帰ってこれるかどうか、というところだったからです。

   すぐに二人ずつの捜索隊が結成されました。
   「おーい、U! どこ行ったんだぁ!」
   迷わないように持ったトランシーバーから、他の友達の声が聞こえて
   きました。

   K君も必死に叫びました。
   「U! さっさと帰ってこないとひどいぞ!」
   何がひどいのか、自分でもわからないほどK君は動転していました。
   しかし……。

   「だめだ」必死の捜索にも関わらず、U君は一向に見つかりません。
   「いったんログハウスに戻って、捜索隊を結成してもらおう」
   先生の提案で、街灯ひとつない森の一本道を8人は歩き出しました。
   手に持った懐中電灯の光だけが、彼らを照らす道しるべです。

   と……、「おーい……」
   後ろの方から駆けて来る人影が見えました。
   「U!?」
   K君は、あわててそちらに向かって走り出しました。
   先生方もホッとした顔を見せていました。

   「どこ行ってたんだよ、U!」
   いちばんホッとしたのはK君だったでしょう。
   しかし、その人影はU君一人だけです。
   Eさんは? いぶかしむ彼でしたが、素直にU君の帰還を喜んでいました。

   しかし。
   「にげろ!!」U君の顔は真っ青です。
   事情もわからないまま、K君はとりあえず走りだしました。
   「ど、どうしたんだよ、U?」
   「いいから、にげろ!!」

   U君は何も答えません。ですが、その理由はすぐにわかりました。
   K君は後ろを振り向いて戦慄しました。
   (着物を着た女の人……?)そう、女性が走ってきています。



       
真っ黒な髪で、着物を振り乱し、必死の形相で。



   ぽっかりと穴のように大きく開いた口が、今にも襲ってきそうな場所に見え
   ました。
   「うそだろ……?」

   K君は走るスピードを上げ、いつの間にか前を走るU君に並びました。
   そして、みんなに追いつき、二人は叫びました。
   「にげろ!!!」
   首を傾げるみんなでしたが、すぐに察したらしく走り出しました。

   先生の手からライトが落ちました。
   「ハァ、ハァ、ハァ……」
   ログハウスのオレンジ色の電灯が、まるで天国のように彼らには見えました。

   もうあの女は追ってきていません。
   「……俺……Eさんを置いてきちまった……。」
   一息ついたみんなの前で、U君は頭を抱えました。

   慰めるみんな。
   それを打ち消したのは、またしても担任の声でした。
   「おや?」
   見ると、先生はメンバーを数えているようです。

   何がおかしいんだ、Eさんはもういないんだぞ。
   怒気が一斉にわき上がりましたが、まだ先生は首を傾げています。
   「どうしたんですか、先生?」
   「「いや、Eさんがそこにいるんだ」
   「!?」
   「おい、Eさん。いつからそこに?」

   ところが返ってきた答は、いちばん戦慄を覚えさせるものでした。
   「え? 私、ずっとみんなといたよ?」……。 
                              (ij468)






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