本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


ここは「感」の部屋です





何かが起きた


■■■M.Tさん(男性)からの投稿■■■




   SEという職業柄、仮眠中に他界した職場の同僚を見たという噂を耳にする
   ことがある。

   古くなった体育館が仮眠室となっていて、そこの二段ベットで...という
   話もあったが、その場に立ってその伝説に現実味がないと率直に感じた。
   ここは、仮眠室なだけなのだと。
   日常のなにげない空間に不調和があってこそ、怪しいのだ。

   私が画学生であった12年ほど前の話である。
   母校、M美術大学にて受験会場準備のアルバイトをしていた。
   物置から、長机を搬出するのだ。

   その日は自転車置き場に近く、木々に覆われた不思議とのどかな情景の
   建物に連れてこられた。
   玄関の左手には小さな受付のような窓があったが、使われていないようで
   あった。

   建物は、上から見ると片仮名のコの字のような形をしていて、中庭のような
   ものがあり、そこの芝生はいい加減に手入れをされた状態であった。
   中庭をとりまく廊下の二階には、手すりが取り付けられていた。

   そして、廊下には扉がきれいに並んでいた。
   まるで、リゾート地の安いホテルのような印象を受けた。
   どこに物置があるのだろうかと首を傾げていたが、一階右手の部屋に連れて
   行かれた。

   中は窓がたくさんあり明るく、おおよそ物置と思えなかった。
   奥に行くと、しきりの向こうに大きな鍋が固定されているのが見えた。
   目の前には、白くほこりをかぶったトレイが積んであるのに気づいた。
   食堂なのだ。

   食堂の机も椅子も今は無く、長机置き場と化しているが、食堂だったのだ。
   学生食堂なのだ。
   そう確信して、あたりを見回すと鉄で出来た食器入れやおたまがあった。
   戸棚を開けてみると、茶碗がたくさんあった。

   他の戸棚には、うっすらとほこりをかぶった箸が何本も何本も入っていた。
   茶碗とは異なり箸を見たとき、ここで食事をしたであろう多くの人の残像を
   感じ不快な気持ちとなった。

   長机を搬出し、その建物のトイレで小用をして、その日のアルバイトは
   終了した。

   大きな学生食堂が2つもあるので、この食堂は閉鎖となったのだろうか。
   ならば、備品は放置されずに新しい食堂で活かされるのではないか。
   そもそも、こんな小さな食堂で大学の住人の相手が出来たのだろうか。
   更には、食堂はその一部でしかないこの建物は何なのか。
   不可思議であった。

   後日、その建物の噂を耳にした。
   教授の研究室の集まりなのだ。だが、昔は女子寮だったとのこと。
   寮生の自殺があってから、この建物は本来の役目を剥奪されてしまった。



      
トイレにその少女が出ると噂が広がったのだ。
      
お決まりであるが、鏡に血まみれの姿が映ったらしい。



   恐れた寮生は去り、寮として成り立たなくなった女子寮は現在の研究室に
   使用されることとなった。
   研究室として問題なく使われているということは、怪談は年頃の少女の
   集団幻覚だったということなのか。

   確かに私の使用したトイレでは、何も起こらなかった。
   しかし、そのトイレが件(くだん)のトイレとは言い切れない。
   私は、2階のトイレで用を足したわけではない。

   改装されて男子トイレが出来たのだとしたら、もとのトイレは無くなった
   とも考えられる。
   いや、ドアを外し漆喰で固めた開かずのトイレが存在したのかもしれない。

   それよりも、自殺した少女の部屋はどうなってしまったのか。
   きれいな建物の一角で時が止まっている。
   日常のなにげない空間に不調和がある。

   この建物に何かが起きたことは確かだと考える。      (kn320







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