本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


ここは「染」の部屋です





返してください


■■■キューさん(女性)からの投稿■■■



   うちの近くの町谷という地区にある廃病院における、この辺りでは有名なお話。
   知人の話をそのままに私の視点で記しました。

   ある日、若いヤツらが例の病院に集まっていた。目的は肝試し。
   その廃病院は、この辺りではかなり有名な心霊スポットである。

   しばらくの沈黙の中、彼らは建物へ侵入する。
   建物の中は散々たる光景。長期間放置されたままである、当然と言えよう。

   彼らは相談する。

   「何か持って帰ろ」
   「何にするん?」
   「病院じゃからメスとかどう?」
   「どこにあるんかな?」
   「手術室か?」

   彼らは行動をはじめ、まずは歩き回る、そして部屋を確認していく。
   通路らしき空間を思わせないほどの荒廃の中を歩く。

   カルテの散乱した部屋。ベッドのある部屋。何も置いてない部屋。
   ホコリっぽい滞った空気、異臭、そして悪臭。

   ドアを開く、中を見る、繰り返すこと数回、ついに手術台のようなモノの
   ある部屋を見つける。

   「探そうか……」
   すぐさま1人がつぶやく。
   「これは?」
   彼女が拾ったのはところどころ錆びたメス。

   「錆びついとる……」
   メスは、その他の器具に紛れて放置されたままだった。

   「あったん?」
   「うん。錆びとるけど」
   錆びたメスを手に、彼らは手術室らしきその部屋を出る。

   しばらく経っても彼らはまだ、廃病院の中にいた。
   「何もないね、出よか」
   「そうじゃね、もう帰ろうや」
   「なんか気味悪うない?」
   「はよ出よ〜」
   口々にぼやき帰ることにした。

   彼らが帰ろうとした、その時。彼らの一人の携帯電話が鳴る。
   「はい?」
   「……」

   良く聞こえない。そのまま、電話を切る。

   しばらく歩く。
   また電話が鳴る。そして、電話に出る。
   「…………」

   聞こえない。
   いたずら電話だと思い、彼女は電話の電源を切った。

   が! 電話が鳴った!
   「あり?」確かに鳴っている。
   「電源切ったのに……?」
   そう、電源は切った、しかし、電話は鳴り続けている。

   「はい?」
   「……お…………えし…………い」

   何か、かすかに聞こえる。
   「もしも〜し?」
   「さっ…………もって……たよね」
   声はだんだん聞き取れるようになってきた。

   「え……?」
   彼女は血の気が引いた。その横でそれを見ていた彼が電話を取ると……。

   『お願いですから返して下さい。さっき持って行きましたよね、手術室から
    メスを……』

   彼は誰かのいたずらだと思ったらしいが、メンバーはみんな同じ場所。
   電話をしているやつはいない。外からだとメスのことなど知らない。

   しかし、その間も声は続いている。
   『お願いですから返して下さい』
   「誰?!」
   『それがないと困るんです、お願いですから返して下さい』

   電源を切ること再び。
   それでも電話は鳴る、電話の声の主は女性。
   「(なんなん? 電源切ったんで?)」
   「(鳴るはずがないじゃん!)」

   再び電源を切る。しかし、電話は再び鳴る。
   いつになったら止むのか、電話は鳴り続ける。
   観念したように彼は電話に出る。

   『今どこですか? ……○○○号室ですね』
   「もしもし……え……!?」
   彼は、その後の言葉を聞いて凍りついた。

   『わかりました、私の方からそちらに行きますね。今、手術室です……』
   そう言い残して電話は切れる。
   彼は「早よ出よ!!」皆にそう叫ぶ。

   「どうしたん?」
   彼らの1人が不思議そうに聞く。
   「ええから! 早よ出よ!」
   彼は焦りだす。その様子を見て最初に電話を聞いた彼女も焦りだす。

   電話はまた鳴った。
   『もうすぐそちらに着きますから、メスを返して下さい。それがないと
    困るんです』

   そいつはさらに焦る。
   「早よ!」
   『もう着きました』
   !!! ……誰もいない、が。

   『返して下さい……』
   電話ではなく直接聞こえた、皆にも聞こえたようだ。
   全員が凍ったように動けなくなる。

   『早く返して下さい……』
   誰もいない……「どこ?」



   
『……あなたの目の前にいるじゃないですか』



   「っ!!!」
   って、いない……? いや、見えないだけ?
   彼はつぶやく……「おらん……」

   『返してもらいます』
   !!! 皆、ただ呆然としていた。

   ふと気がつき彼女が言う。
   「なに? いまの……」

   沈黙は破られた。
   「!!!」
   そこで違和感を感じて……確かに手に持っていたのにない!
   そう、メスがなくなってる。

   その後、皆、血の気の引いた顔で外のメンバーと合流し、そのまま撤収する
   ことになった。
   彼はその一件以来、その病院が見えるのも駄目で、近くを通ることもでき
   なくなっている。
                                  (td588)







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