本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


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奥多摩の女


■■■S.Kさん(男性)からの投稿■■■




   ある夏の日でした。
   私が奥多摩へ、ヤマメを釣りに行った時のことです。
   これからお話することは、その時の体験談です。
   最初に断っておきますが、これはまったくの実話です。

   幽霊を見たのでもなく、お化けが出たわけでもないのですが……。
   ホントにイヤ〜な体験をしたのです。聞いてください。

   その日、私は釣りの師匠でもあるカメラマンのOさんと二人で、多摩川の上
   流部を釣り上っていました。
   蒸し暑い日で、釣果もあまり芳しくなかったので、川の両岸に分かれて竿を
   出し続けていました。
   しだいに夕暮れが近づき、奥多摩独特の深いX字谷に空気がどんよりと澱む
   ような時間でした。

   ヤマメの魚信もなく、ふと視線を上流に向けたその時、私は異様な物を目に
   しました。
   10メートルばかり先の大きな岩と岩の間から、白い足袋が見えるのです。
   両足をこちらに向けて、人が岩に挟まっているようです。
   私は対岸のOさんを大声で呼びましたが、渓流の音にかき消されてOさんは
   まったく気づきません。

   目をつぶって、その場を通り過ぎようかとも考えましたが、怖いもの見たさ、
   いや、やはり人間の心理なのか、確認しない方がよほど怖いような気がして、
   私は意を決して恐る恐る白い足袋の方へ近づいて行きました。
   頭の中には、翌日の新聞の見出しがハッキリと浮かんでいました。
   「釣人、バラバラ腐乱死体を発見!」……と。



       
近づいてみると、それは着物を着た女性でした。



   うつぶせに倒れているので表情はわかりませんが、着物の柄から若い女のよ
   うでした。
   長い髪が激しく乱れていました。
   不思議なことに、足袋の付け根(?)の部分がガムテープでぐるぐる巻きに
   されています。

   「猟奇殺人事件?」
   私の口の中は渇き、心臓の鼓動は速くなりました。
   さらに、接近する私。もう、喉の奥がはりつきそうでした。
   身体を低くして、思いきってうつぶせの女の顔をのぞいて見ると……!!!

   なんと、マネキンじゃありませんか!
   拍子抜けするような安堵感と共に、何でこんな山奥の深い谷にマネキンがあ
   るんだ???と、疑問は広がるばかりでした。

   じつは、この話には結論があります。
   それから数日後、ぼんやりTVを見ていたら、ドラマの中で高い橋の上から
   女が突き落とされて殺されるシーンがありました。
   私はハッと気づきました。
   紛れもなく、あの「奥多摩の女」だったのです。

   殺人シーンに使ったマネキンを回収せずに放置した、どこかの映画会社の仕
   業だったのですねぇ。
   まったく、人騒がせな! 寿命が何年か縮まったゼ。
                          ジャン、ジャン!
   (
wa185)







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