本当にあった怖い話・不思議な話
逢魔が時物語


ここは「妖」の部屋です





−スキー宿の座敷童−


■■■Hiさん(男性)からの投稿■■■



リフト待ち30分は普通というぐらい、スキー場が混んでいた頃の話
ですから、17〜18年くらい前のことではないでしょうか。

それは、やはりN県のJというスキー場の話です。
その宿に泊まることになったのは、いつものごとく駅の宿泊案内所の
紹介でした。

早朝に東京を出て、スキー場の集まるN県のY駅でその宿を紹介して
もらい、バスでその宿のあるスキー場に向かいました。

そのスキー場は何度も行ったことがあるので、ゲレンデの一番下の
リフトのすぐ上にあるその宿のことはすでに知っていました。

付近の民宿に比べ規模も大きく、リフトまで滑っていけるその宿を
宿泊案内所で紹介されたとき、いい宿が取れたと友人と喜んだのを
覚えています。

ところが泊まってみてわかったのですが、その宿は今まで泊まった
その付近の宿の中で一番よくない宿でした。

混んでいるというせいもあるのかとは思いますが、食事は汁物も含め
冷えている。

普通、スキー場の宿の食事といえば、おかずはあらかじめテーブルに
並べておき、ご飯と汁物は宿泊客がテーブルについてから運んでくる
のが普通です。

ところがその宿では、ご飯も汁物もあらかじめテーブルに並べてある
のです。
当然、ごはんも汁物も冷えきっています。

風呂に入れば大学のスキーサークルの連中が我がもの顔に騒いでいる。
そういえば宿の人の応対もかなり不快な態度が多い。

食事の時も、年配の男性が宿泊客をまるで命令でもするかのような
口調で席に誘導していました。

部屋に帰ってから友人と「この宿、いままでで最悪だね」と話したのを
覚えています。

まぁ、そうは言っても久しぶりの友人とのスキーですし、
1時くらいまで友人と楽しく話して寝ました。



ぐっすり寝ていた私は、
廊下でどたばた騒いでいる何人かの子供の声で目が覚めました。




部屋の中は真っ暗です。時計を見ると4時ちょっと前。
真冬(正月)の4時ですから、まだ真っ暗です。

しかも、N県のですから宿の中とはいえ廊下は相当寒かったはずです。
子供は4〜5人くらいでしょうか? 時々耳障りな甲高い声が混じる
ことからして、幼稚園か小学校低学年という感じでした。

何を言っているかはわかりませんが、なにか大声で話したり笑ったり、
廊下をドタバタあっち行ったりこっち行ったり駆け回って大騒ぎです。

「この夜中に何騒いでるんだろう? 親は叱らないのか? 
しかし本当に最悪な宿だなぁ……」

と思いつつも、その大騒ぎを聞きながら、いつしかまた寝入ってしまい
ました。

再び目が覚めたのは明るくなってからでした。
カーテンを開けると、目をまともに開けてられないくらいのまぶしさ
でした。

滑っている人はまださすがにいませんでしたが、リフトはもうカタカタ
音を立てて動いています。

不快な宿にいるのもイヤなこともあり、とっとと滑りに行こうと寝ている
友人を起こして朝食を食べに行きました。

食事を食べ終わりお茶を飲んでいるとき、ふと明け方の子供の大騒ぎの
ことを友人に話しました。

「明け方、子供が大騒ぎしてうるさかったろう」
「子供? えー知らない。何時頃?」
あの大騒ぎを友人はまったく知らなかったようでした。

「4時ちょっと前くらい。お前本当にあんな大騒ぎだったのに目が覚め
なかったの?」
「全然知らない。お前夢でも見たんじゃないの?」
「夢じゃないって。お前オレが目覚めがいいの知ってるだろう?」

私は自分で言うのもなんですが、かなり目覚めがいい方です。
それは友人も知っていることでした。
「そうだよなぁ……。でも全然知らない。そういう意味じゃ、お前も
知ってるだろうけどオレは目覚め悪い方だし……」

そう友人が言うと、私もおかしくなって二人で大笑いしながら食後の
お茶を飲んでいました。
ふいに友人が真顔になりました。

「でもさ、いくらなんだって変じゃないか?」
「…………?」
「幼稚園か小学校低学年くらいの子供なんだろ? 普通そんな小さな
子がそんな時間に子供だけで廊下にいるか?」

「だから、みんなで連れ立ってトイレに行くとか……」
「夜中の4時だろ。普通親を起こして行くだろう。親がついていけば
いくらなんだってなんか言うだろ? だってずっと騒いでいたんだろ?」

確かに途中で寝入ってしまったにせよ、廊下をバタバタあっち行ったり
こっち行ったりして騒いでいたので、一瞬のことではありませんでした。

「そりゃー座敷童子じゃねぇ!?」
友人は笑いながら言いました。
その日1日滑って宿を出るとき、なんとなく宿を振り返りました。

宿の応対は帰るときも相変わらずつっけんどんで、とにかく最後まで
不快な宿でした。
リフトのすぐ側だからこそ、あんなサービスでもやってけるのでしょう。

でも、ほとんどの人は一度泊まったら二度と泊まりたくないと思うの
では? と思うような宿でした。

少なくとも私自身は絶対この宿だけは泊まりたくないと思いました。
ちょっと歩けば、気持ちよく泊まれる宿がたくさんあるのを知って
いましたから。

座敷童子のいる家は栄えるといいます。
そういえば、その宿もまるで小さな城のような構えの立派な宿でした。
あれは、もしかしたら本当に座敷童子だったのかもしれません。

                             
yo3089







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